聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
*
いずみは、数日米酢を使った料理に夢中だった。
この国にも酢はあるが、麦を材料とした穀物酢かワインビネガーなので、和食とは地味に合わない。
ジョナスの伝手で仕入れてもらった米酢は、いずみの舌には懐かしい味だ。
だがそれも立て続けに食べれば飽きる。
「奥さま、今日は何作ります?」
ジョナスが腕まくりしながら入ってくる。
「……うーん。そうだな。今日はジョナスさんの料理が食べたいかな」
「へっ? 珍しいこともあるもんだ」
「だって。ジョナスさんが今まで作っていた料理もおいしいもの。自分の国の料理は懐かしいし好きだけど、毎日同じじゃなくてもいいの。いいものを取り入れて新しいものを食べたいじゃない?」
いずみの発言に、ジョナスは気を良くしたようだ。人差し指で鼻をこすって、「じゃあ、今日は奥様の国では味わえないような料理にしましょうか」と笑った。
「手伝うね。私、この国の料理も覚えたいし」
「じゃあ、そこの芋の皮をむいてくだせえ」
いつもの調子でジョナスといずみが気軽に会話していると、入ってきたスカーレットが彼の頭を叩く。
「あんた! 奥さまに下働きみたいな仕事させるんじゃないよ!」
「だって仕方ねぇだろう。奥様は魔法つかえねぇんだから」
「いいのよ、スカーレットさん。私が手伝いたいって言ってるんだから」
いつものバンフィールド伯爵家の平和なやり取りである。
いずみは、数日米酢を使った料理に夢中だった。
この国にも酢はあるが、麦を材料とした穀物酢かワインビネガーなので、和食とは地味に合わない。
ジョナスの伝手で仕入れてもらった米酢は、いずみの舌には懐かしい味だ。
だがそれも立て続けに食べれば飽きる。
「奥さま、今日は何作ります?」
ジョナスが腕まくりしながら入ってくる。
「……うーん。そうだな。今日はジョナスさんの料理が食べたいかな」
「へっ? 珍しいこともあるもんだ」
「だって。ジョナスさんが今まで作っていた料理もおいしいもの。自分の国の料理は懐かしいし好きだけど、毎日同じじゃなくてもいいの。いいものを取り入れて新しいものを食べたいじゃない?」
いずみの発言に、ジョナスは気を良くしたようだ。人差し指で鼻をこすって、「じゃあ、今日は奥様の国では味わえないような料理にしましょうか」と笑った。
「手伝うね。私、この国の料理も覚えたいし」
「じゃあ、そこの芋の皮をむいてくだせえ」
いつもの調子でジョナスといずみが気軽に会話していると、入ってきたスカーレットが彼の頭を叩く。
「あんた! 奥さまに下働きみたいな仕事させるんじゃないよ!」
「だって仕方ねぇだろう。奥様は魔法つかえねぇんだから」
「いいのよ、スカーレットさん。私が手伝いたいって言ってるんだから」
いつものバンフィールド伯爵家の平和なやり取りである。