聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
メイドも微妙な表情をしたが、時間もないことからこれ以上手を加えるのは諦めたらしい。
「ご案内いたしますわ」
と、迷いを振り切ったように顔を上げ、笑顔のままいずみを先導する。
(ある意味、このメイドさんもプロだな)
感心しつつ、いずみは若き国王が待つ部屋へとやって来た。
そこは天井の高い広い部屋だった。長いテーブルが置かれ、そのお誕生席にオスカーがいる。テーブルの上には料理のほかに食卓を彩る花も所狭しと置かれていた。
「ようこそ、聖女殿、こちらへ」
一瞬、顔をこわばらせたオスカーは、いずみをエスコートするべく立ち上がって近づいてきた。顔を浮かべながらも、軽く目はそらされている。
(直視したくないほど似合ってないのか! もういっそはっきり言ってよ。中途半端に気を使われるのが一番キツイよ!)
内心は傷ついたが、いずみは笑顔を取り繕ってかしこまる。
「恐れ入ります。国王様」
「オスカーでいいよ」
「では、オスカー様」
オスカーはまずいずみを席に座らせ、その後自分も向かいの席に着いた。同時に、側仕えによる給仕が始まった。
(……ん? 晩餐はふたりでということ?)
「あの、オスカー様のご家族は……」
神官の話では、父親な亡くなっているようだった。だが、まだ若い王様に、母親や妻はいないのだろうか。不思議に思っていずみが尋ねると、彼は少しばかり寂しそうに笑った。
「ご案内いたしますわ」
と、迷いを振り切ったように顔を上げ、笑顔のままいずみを先導する。
(ある意味、このメイドさんもプロだな)
感心しつつ、いずみは若き国王が待つ部屋へとやって来た。
そこは天井の高い広い部屋だった。長いテーブルが置かれ、そのお誕生席にオスカーがいる。テーブルの上には料理のほかに食卓を彩る花も所狭しと置かれていた。
「ようこそ、聖女殿、こちらへ」
一瞬、顔をこわばらせたオスカーは、いずみをエスコートするべく立ち上がって近づいてきた。顔を浮かべながらも、軽く目はそらされている。
(直視したくないほど似合ってないのか! もういっそはっきり言ってよ。中途半端に気を使われるのが一番キツイよ!)
内心は傷ついたが、いずみは笑顔を取り繕ってかしこまる。
「恐れ入ります。国王様」
「オスカーでいいよ」
「では、オスカー様」
オスカーはまずいずみを席に座らせ、その後自分も向かいの席に着いた。同時に、側仕えによる給仕が始まった。
(……ん? 晩餐はふたりでということ?)
「あの、オスカー様のご家族は……」
神官の話では、父親な亡くなっているようだった。だが、まだ若い王様に、母親や妻はいないのだろうか。不思議に思っていずみが尋ねると、彼は少しばかり寂しそうに笑った。