聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
「先ほどの話にも出たが、父は三ヵ月前、流行り病が原因で亡くなった。……母はもっと前、私が三歳の夏に流行り病で亡くなっている。私はまだ二十一で未婚でほかに兄弟はいない。もてなすのが私だけでは不満か?」

「とんでもない。……すみません。失礼なことを聞いてしまって」

いずみはひとり暮らしをしているが、実家の両親は健在だし、弟もいる。家族仲も悪くない。
幸せな自分の身の上を思い出し、申し訳ない気持ちになるのと同時に、急に不安になった。

(そういえば、私がここにいるってことは、あっちの世界の私っていなくなっちゃったのかな。だとしたら、父さんも母さんも心配してる?)

急に寂しくなり、いずみは黙った。それを、同情と取ったオスカーは、からっとした声で笑った。

「君が気にすることではない。母は無くとも、私には世話をしてくれる女官もいたし、ミヤ様もいた。まあ、ミヤ様も長生きはなさらなかったがな。……それより、今後の君の処遇についてだ」

「はい」

それはいずみにとって、最も重要なことだ。

(役に立たないのならばさっさと帰してほしい。こんな私だけど、家族くらいは心配してくれているはずだし)

「神官と話し合ったんだがな。まずは本当に聖女としての能力がないのか確認しなければならない。しばらくはこの王城に住まうといい。この世界のことも知ってもらわなければならないし、君が望む通りの学習環境を整えよう」

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