聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
「どちらもです。私が戦いにしか向かない男だということは、陛下もご存知でしょう。戦場に身を置けばこそ、生きる価値もありますが、平和な王都に私の居場所などありません。それに! 召喚聖女についての扱いもそうです。はやり病についてはたしかに懸念事項ではありますが、ミヤ様にも解決できなかったことが、どうして他の人間にできると思うのですか」

「お、おい。アーレス、落ち着け」

「しかも呼び出しておいて役に立たなかったから結婚させるとはどういうことですか。まるで厄介払いのように。呼び出した以上、王家で面倒を見てやるのが当然でしょう? それをなんですか、夜会で候補者と引き合わせて結婚? しかも候補者はもらい遅れの私ときている」

「待て待て。こう見えても、これはかなり熟考して得た結論なのだぞ。まず第一に、お前も三十六歳だ。まだ男盛りとはいえ、体力や瞬発力はこれから衰える一方だ。だとすれば、お前が今まで得た戦闘の知識を伸びしろのある若手に教えていけば、第二、第三のお前が生まれるかもしれないだろう。団長として、全体を総括しつつ、後進の育成に力を入れて欲しいんだ」

「私が若い奴らに負けるとでも?」

「今は負けなくともいつかは負ける。あんなに強かった父上だって病魔に負けた。何が起きるかなんて誰にも予測できないだろう」

それは事実だった。
実際、数年前よりは瞬発力が落ちているのは感じている。いや、だが、落ちた分は別のところで取り戻せるはずだ。筋力はまだまだ上がっている。早さが落ちたなら力で押せばいい。

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