The Last -凶悪-
「サトミ~!
今日もマクドナルド行くでしょ?」
「・・うん。」
「帰りにお買い物もしようよ!」
学校帰り、家に帰る前にミドリちゃんと寄り道をする事が多くなった。
ミドリちゃんはオシャレが好きで、
今年創刊された「an・an」という名前の雑誌をいつもカバンの中に入れていた。
アランセーター、サファリジャケット、
ベルボトム、ホットパンツ。
同級生の子達よりも何歩も先を行く大人びたミドリちゃんに、
私もたくさんのオシャレを教えてもらった。
・・ただ・・少し気になった事が・・
「・・あ~!しまった。」
「・・どうしたの?」
「昨日パパからお小遣いもらうの忘れてた。」
レジでお会計をする時、ミドリちゃんがお財布を広げて困り顔を浮かべる。
「・・あ・・じゃあ・・
私が立て替えようか・・?」
「いいの!?ありがとサトミ~。」
この前の分はいつ返してくれるのかな・・
その言葉を飲み込んで・・
また自分の財布を開ける。
うちは決して裕福とは言えない家庭だった。
でも・・お母さんにお願いして・・
お小遣いを増やしてもらった。