夏に溶けて、死んじゃえばよかった。
そばの真っ白いテーブルに、ことんと。2輪の竜胆が置かれる。
音はしなかった。ブーケだったから。
だけど、たぶん、彼の心の綺麗さのことだから。
溜め込みたがりの、強がりの、儚い心のことだから。
綺麗で儚くて消えちゃいそうな音を空気に響かせて、余韻に浸らせて、私を泣かせるんだろうな。
あいている私の左手と、竜胆を手放してあいた彼の右手。
ぎこちなくうごいては、ゆらゆらとさまよって、ふらりふらり。