25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
「やっちまった・・・。」
久し振りの全力疾走も報われず、ガックリと膝に手を置いた俺に対して
「間に合いませんでしたねぇ。」
と呑気な声で、山下は言う。
「行こう。」
「えっ?」
「タクシー拾おう、送って行くよ。」
俺は焦って、今度はタクシー乗り場に山下を引っ張って行こうとするけど、なぜかその手を振り払うと、悲しそうに俺を見る山下。そんな彼女に戸惑っていると
「私って、そんなに魅力ありませんか?」
訴えるように言って来る。
「好きです。」
「山下・・・。」
「課長のことが好きなんです。」
あまりにも予期しなかった山下の言葉に、一瞬呆然とした俺は、次の瞬間、思わず左手を彼女の前に突き出していた。
「酔っぱらってるのか?俺には妻も子もいるんだぞ。」
「そんなこと、わかってます!でも好きなんです、好きになっちゃったんです。もうどうしようもない、こんな気持ち・・・初めてです。」
そう言うと、潤んだ瞳で俺を見つめた山下は、俺に身を寄せて来る。俺は彼女の背中に思わず手を回してしまったが
「山下、君の気持ちは嬉しい。だが、受け入れることは出来ないよ。今の言葉は聞かなかったことにする、だから帰ろう。」
と言って、彼女の身体を離そうとする。だが
「嫌です。今日は決めてたんです、私の気持ちを課長に伝えるって。私、今夜は絶対に帰りません。課長も絶対に帰しません。」
と言い切る山下。真面目で純粋な子だと思ってたのに・・・いや、そういう子だからこそ、ここまで思い詰めてしまったのか。そんな彼女の気持ちに全く気付かなかった自分の迂闊さを後悔する。
まもなく土曜日になろうかという時間だが、仕事帰り、酒場帰りのサラリーマン達がまだまだ溢れている。彼らの好奇な視線を浴びながら、俺の中で理性と本能が、激しいバトルを演じていた。
久し振りの全力疾走も報われず、ガックリと膝に手を置いた俺に対して
「間に合いませんでしたねぇ。」
と呑気な声で、山下は言う。
「行こう。」
「えっ?」
「タクシー拾おう、送って行くよ。」
俺は焦って、今度はタクシー乗り場に山下を引っ張って行こうとするけど、なぜかその手を振り払うと、悲しそうに俺を見る山下。そんな彼女に戸惑っていると
「私って、そんなに魅力ありませんか?」
訴えるように言って来る。
「好きです。」
「山下・・・。」
「課長のことが好きなんです。」
あまりにも予期しなかった山下の言葉に、一瞬呆然とした俺は、次の瞬間、思わず左手を彼女の前に突き出していた。
「酔っぱらってるのか?俺には妻も子もいるんだぞ。」
「そんなこと、わかってます!でも好きなんです、好きになっちゃったんです。もうどうしようもない、こんな気持ち・・・初めてです。」
そう言うと、潤んだ瞳で俺を見つめた山下は、俺に身を寄せて来る。俺は彼女の背中に思わず手を回してしまったが
「山下、君の気持ちは嬉しい。だが、受け入れることは出来ないよ。今の言葉は聞かなかったことにする、だから帰ろう。」
と言って、彼女の身体を離そうとする。だが
「嫌です。今日は決めてたんです、私の気持ちを課長に伝えるって。私、今夜は絶対に帰りません。課長も絶対に帰しません。」
と言い切る山下。真面目で純粋な子だと思ってたのに・・・いや、そういう子だからこそ、ここまで思い詰めてしまったのか。そんな彼女の気持ちに全く気付かなかった自分の迂闊さを後悔する。
まもなく土曜日になろうかという時間だが、仕事帰り、酒場帰りのサラリーマン達がまだまだ溢れている。彼らの好奇な視線を浴びながら、俺の中で理性と本能が、激しいバトルを演じていた。