エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
ふたりで食事を終えた帰り道、袋の中にはビール、とアイスクリームが入っている。
拓海に荷物を持ってもらい、日菜子のあいた手は彼にしっかりと握られていた。
ただ家までの道を歩いているだけ。特別なことをしているわけでもなんでもない。
けれど拓海とこの時間を過ごせることが、日菜子にとっては幸せなことだった。
ふと隣を見ると、すぐに見つめ返してくれる。お互いちょっと微笑み合うこの時間がうれしかった。
部屋につくと、先に拓海にシャワーを勧める。数ヶ月前に兄が泊りにきたときに置いていった新品のスウェットがあったので、それとタオルを脱衣所に置く。
すると中から拓海が声をあげる。
「一緒に入る?」
「バカ言わないでっ! もう」
日菜子の反応に、拓海は声をあげて笑っている。
最初は呆れた日菜子だったけれど、彼の笑い声を聞いてこの時間が少しでも彼がリラックスできる時間であって欲しいと心から思った。
シャワーを終えた拓海にビールを渡してまってもらっているうちに、日菜子もシャワーを浴びる。
まさかこんなふうに彼氏を急に部屋に泊めることになるとは思っていなかった。
日頃からある程度、部屋をきれいにしておいてよかったと思う。
それと同時にいつもより念入りに体を洗っている自分にきがついて、はずかしくなる。
(別に……期待しているわけないけど、エチケットというかマナーというか)
誰にもせめられているわけではないのに、自分に必死に言い訳をして少し長いシャワーを終えた日菜子は部屋に戻って動きを止めた。
「……もしかして寝てる?」
ソファに座った拓海の前には、空いた缶ビール。きっとそれを飲み干したあと睡魔に襲われたに違いない。ソファにすわったまま目を閉じて日菜子が近づいていっても微動だにしない。
隣に座り彼の顔を覗き込む。少し目の下に隈ができていて、疲れているのがわかる。
日菜子はクスッと笑ったあと、彼の肩に頭を預けた。
きっと睡眠時間を極限までけずって樺っていたのだろう。今日こうやって少しでもゆっくりさせてあげられて、日菜子は満足だった。
拓海から伝わってくる心地良い体温。それを感じているうちに日菜子自身も、うとうとと眠くなってしまった。