エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「どうしてさっきまで飲み会の席にいたあなたが、ここにいるんですか?」

 口調はきちんとしたものだったが、怒りの感情が込められており脇坂はわなわなと唇を震わせている。

「ど、どうしてって......それはっ」

 そこで彼女の表情が変わった。

「松風さんがお休みしたのが悪いのよ。以前、西野さんの仕事を手伝ったでしょう? あの仕事のことで確認したいことがあるって西野さんが--」

「僕はそんなこと頼んでないけど、いつの、どの仕事のことかな?」

 現れたのは西野と部長だった。

 言い逃れができないと思った脇坂は、その場に座り込んだ。

「君が必死になって彼女のパソコンから削除しようとしていたのは、ライバル社に言われてインストールした遠隔操作のソフトじゃないのか?」

「......っ、わ、わたし。なにも知りません」

「そんなはずはないだろう。情報システム部で確認すればすぐにわかることだ。こちらに来なさい」

 いつになく険しい部長の表情に、脇坂は顔色を完全に失いその場から動かない。

「これは刑事事件になるかもしれない。そのこと念頭に置いて、今後の監査室のヒアリングに臨みなさい」

 部長の言葉に脇坂が「はい」と小さく返事をして、フロアを出て行った。

 残されたのは日菜子、拓海。そして西野だ。

 拓海はすぐに西野の元へ行き頭をさげた。

「西野さん、助かりました。ありがとうございます」

 拓海と一緒に日菜子も頭を下げる。

「いや、南沢が松風さんを助けてほしいって俺に頭を下げたから、手伝いたくなったんだ。彼ね、仕事も手を抜かずにこの問題も解決しようとがんばってたからね」
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