エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
 大げさなくらいのため息をついた拓海は「もういいかえら食え」と言って日菜子の皿に料理を山盛りにした。

 拓海もだまったまま食事をしている。

 また気まずい雰囲気が流れた。

(せっかくおいしい料理なのに……このままじゃだめだよね)

 日菜子は頭の中で一生懸命言葉を選ぶ。正解かどうかはわからないけれど、誤解をきちんととかなくてはいけない。

「……わたし、南沢くんのこと……嫌いじゃないよ」

 相手の方も見ることもできず、声も小さかった。けれど誤解させたままでは良くないと思い勇気を出した。

 しかし向こうからの反応がない。山のような料理の乗った皿に落としていた視線をおそるおそる彼に向けた。

 うつむきがちの拓海の顔は全ては見えない。けれど口元が緩んでいるのがわかる。

(笑ってる……?)

 はっきりとは見えない。けれどさっきまで下がっていた口角が緩やかなカーブを描いているのがわかった。

 日菜子がじっと見つめていると、拓海が視線をこちらに向けてばっちりと目が合う。 

するととってつけたように、唇を引き結びまた不機嫌な顔になった。

「なんで、そんな上から目線なんだよ。いいから、飲め」

 からになっていたワイングラスに拓海がワインを注いだ。


「そんなに、食べろとか飲めとか言われもわたしもうおなかいっぱいだよ?」

「あ? ああ、そうか。だったらデザート頼めば? 別腹だろ?」

 ぐいっとメニューを差し出され受け取る。

 さっきから一度も目が合わない。

 日菜子はメニューを広げ、デザートを選ぶふりをしながら拓海の様子をうかがっていると、彼が顔をあげてこちらを見た。
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