エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
 しかし日菜子の答えに西野は納得しない。

「いや、まいったな。そうじゃなくて……お礼は建前で、松風さんと一緒に……」

 しかし西野は最後まで言葉を続けられなかった。拓海が遮ったのだ。

「日菜子、早く食べないと昼休み終わるぞ。お前食べるの遅いんだから」

「……え、あ、うん」

(ひ、日菜子って呼ばれた!?)

 そのことに目の前にいる花も驚いたようだ。彼女の食事の手も完全に止まって、目の前で起こっていることをじっと静観している。

 隣に座る拓海は、何でもない顔をして生姜焼きを大きな口をあけてほおばった。そしてまた足を軽くぶつけてきて、何かを促そうとしている。

 けれど、その何かが日菜子にはわからない。

(もう、いったい今日はなんなの!?)

「で、どうかな? 松風さん」

「どうって……言われても」

 こんな形で誘われたことがない日菜子はどうすればいいのかわからない。周りも食事をしながら、チラチラとこちらを窺っているのが伝わってきて、余計に焦ってしまう。

「日程は、君に合わせるよ。誘ったのは僕だし」

「コイツ、行きませんよ」

 日菜子の代わりに答えたのは、拓海だった。

「南沢、君のことは誘ってないから」

 温和な西野も拓海の態度に若干カチンときたようで、わかりやすく顔を歪めた。

 西野の言葉に、それまで食事を続けていた拓海は彼へ顔を向けた。

「コイツ、俺とつき合ってるんで。誘うのやめてもらえませんか?」

(えぇ?)

 拓海の言葉に驚きすぎて声が出ない。目をまんまるにして、ぽかんと口を開けたまま拓海の顔を見つめる。

 拓海は日菜子の視線を感じているはずなのに、彼は西野とにらみ合ったままだ。

 わずかな沈黙を打ち破ったのは、花だった。それも痛烈に大きな声で。
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