エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
拓海は人の多いエレベーターホールではなく、階段の方へと日菜子を連れて行った。
一階ほど階段を降りたあと、やっと落ち着いてきた日菜子は拓海の手を振りほどいた。
わずかに息のあがった日菜子は、足を止めた拓海を睨み付けた。
「いったい、どういうつもり? みんなの前であんなこと言って」
花や西野だけではない。周りにいた人たちにも話しを聞かれていたに違いない。色々な部署の人たちの集まる食堂だ。あっという間に噂が広がってしまうだろう。
「松風が困ってたから、助けただけ。優しいだろ?」
「な、なんであんなこと!? 他に方法はいくらでもあるよね?」
思い出しただけで、頬が赤くなってしまう。
かたや拓海は面白そうに顔を赤くした日菜子を笑いながら見ている。
「なに、恥ずかしいわけ?」
「あ、当たり前でしょう! あ、あんなみんなに……! もう、どうしよう」
拓海に見つめられると益々顔が赤くなってしまう。
「これからどうするつもりなの?」
周りからの好奇の目にさらされることを考えると、すでに気が滅入る。
「さあ、松風はどうしたい?」
「どうって……ひとりずつ誤解を解いていくなんて無理だよ」
この手の噂話は光の速さかと思うほど、広がるのに時間がかからない。きっと今も社内の噂好きの面々が、面白おかしく食堂での出来事を話しているに違いない。