エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「で? いつまでスマホとにらめっこしてるつもりなの?」
カウンター越しに呆れた顔の美穂が、日菜子を呆れた顔で見ていた。
「だってどうしたらいいのかわからなくて」
仕事帰りに喫茶わかばに寄った日菜子は、美穂の作るナポリタンを食べた後、ずっとスマートフォンの画面とにらめっこしていた。
この間の遊園地のことから今日の社員食堂の出来事までをかいつまんで美穂に聞いてもらった。
そうこう話をしているうちに、日菜子のスマートフォンに拓海からメッセージが届
いたのだ。
彼は明日から三日間の札幌出張。その帰ってくる日に食事をしようということだっ
た。
その返事をするのに、日菜子はもうかれこれ二十分も悩み続けている。
「別になんでもいいんじゃない?」
「それが難しいんだって。すごく楽しみにしてる……とか思われると恥ずかしいじゃ
ん」
唇を尖らせる日菜子に、美穂は渇いた笑いを漏らす。
「はあ? だったら『別に楽しみじゃないけど、行きます』って書けば? ほら、貸してみ? わたしが送ってあげるから」
伸びてきた美穂の手をパシッと軽くたたいて睨む。
そんな日菜子を見て、美穂はクスクスと笑った。
「日菜子は、楽しみじゃないの?」
「……楽しみ……だよ」
認めてしまうのは恥ずかしいけれど、ここはちゃんとしたアドバイスをもらいたい。自分の気持ちを隠さずに、美穂に伝える。
「その南沢くんのこと、好きなの?」
「えっ!!」
手に持っていたスマートフォンを落としそうになって慌てて握りしめた。
「好きなの? 嫌いなの?」
「好き……なんだと思う」
自分の中で芽生えていた気持ちを、気心の知れた親友相手であれ口にするのは恥ずかしかった。
ほんのり赤くなる頬を自覚しているのに、美穂はそれをからかう。
「わたし相手にそんなに恥ずかしそうにしてて、どうやって相手に気持ちを伝えるわけ?」
「伝える? わたしがっ!?」
驚いた日菜子を見て、美穂も驚く。
「え? 言わないつもりなの? こんなにいろんな恋愛フラグが立ちまくってるのに?」
「恋愛フラグ?」
よくわからない単語が出てきて、日菜子は首を傾げた。
「はぁ、もう。この子は! もういいわ。自分の気持ちを言わないで後悔しても知らないからね」
「でも、言って後悔するかもしれないじゃない」
拓海に限ってはそういうことはないと思う。けれど万が一自分の思い違いだったとしたら、絶対に後悔してしまうに違いない。
「じゃあなにも行動起こさないままで待つの? その間向こうが他の綺麗な女の子に告白なんかされちゃって、つき合ってもいいわけ?」
そういえば以前受付の女の子に告白さえて断ったと聞いた。脇坂だって拓海のことはお気に入りだし、総務の女子社員も本気で彼を狙っていると花が噂していた。