あやかし神社へようお参りです。②
裏の社は逢魔が時と呼ばれる時刻に開く。
季節によって少しずつ違うらしいけれど、裏山に日が沈むころには少しずつ妖たちがやってくる。私と三門さんはそれに合わせて社を開く準備をするのだが、今日は初めて一人だけで支度をすることになる。やることといったら社頭を掃いたり、本殿の前にお供え物を飾ったり、簡単なことが多いけれど、ひとりだと思うと少し緊張してしまう。
駆け足で帰ってきて直ぐに緋袴に履き替えると、早速準備に取り掛かった。
お供え物は三方と呼ばれる特別な台に乗せて献上する。
木製の盆の下に直方体状の台がついた形をしていて、台の三方向に穴があいていることからその名前になったらしい。町の人たちや妖たちが「ユマツヅミさまに」と持って来てくれた野菜やお酒をそれに乗せて供えるのだ。
胸の前で大事に掲げ、丁寧に作法をこなして本殿へ足を踏み入れる。足の裏からひんやりとした床の感覚が伝わってきて背筋が伸びた。
蝋燭に火を灯し、定められた場所に三方を置いた。三門さんのように祝詞を覚えている訳でもないので、手を合わせながらお供え物を持ってきたことを伝える。
最後に、裏の社もよろしくお願いします、と伝えてからゆっくりと立ち上がった。