あやかし神社へようお参りです。②
「で、ユマツヅミさまは何て?」
健一さんに尋ねられ、開きかけた口を咄嗟に閉じた。なぜか昨日話した内容は誰にも伝えてはいけないような気がしたのだ。小さく首を振って「何も」と答えれば、健一さんはつまらないとでも言いたげに適当な相槌を打った。
「麻ちゃん、それでもとても貴重な経験をしたことになるよ。魂魄でも、神さまにお会いしたんだ。ここ数十年とそのお姿を拝見したものはいないんだから」
「三門さんも……?」
「もちろん。父さんもじいさんも、一度もない」
そうなんだ、と目を見開き、高鳴る胸をそっと押さえる。
とても貴重な経験をしたことが今になって実感した。三門さんたちがとても羨ましそうに、興奮気味に、その時のことを何度も尋ねてきた。どんな顔をしていたのか、背格好はどんなだったか、そんな質問にひとつひとつ答えていると、時間はあっという間に過ぎて家を出る時間になった。
慌てて残りを描き込んで、部屋のすみに置いていたスクールバックを手に取る。
「気を付けてね」
「行ってらっしゃい」
「幽霊には気をつけてな」
ひとこと余計なものが混じっていたが、笑顔で返事をして飛び出した。