あやかし神社へようお参りです。②


 「は、入るの!? 郷土史研究部!」

 「悪いか?」

 「わ、悪くない……けど」


 咄嗟に脳裏を過ぎったのは水童先生と篠の顔だった。篠は間違いなく妖狐、妖だ。水童先生は何の妖かは分からないが、たぶん妖で間違いない。

 そんな二人がいる郷土史研究部に、妖を祓うことを生業にしている賀茂くんが入って、もしもふたりの正体がばれたりでもしたら────。


 考えるだけでも頭が痛くなる。


 まずい、非常にまずい。


 差し出された入部届を前に固まっていると、賀茂くんは深く息を吐いた。


 「妖狐と河童のことなら把握している。把握しているからここに来た」

 「なッ……んのこと?」


 声が上ずった。背筋を尋常じゃないくらいの冷や汗が流れる。心臓が耳の横に移動したかと思うほど鼓動が煩かった。


 「白を切るか。ある程度のものなら、妖がいた場所は匂いで分かるぞ」


 なんでも見透かすような目から逃れるように俯いた。ため息を吐いた賀茂くんは、突然私の隣へ歩み寄った。


 「な、なに?」


 私の言葉は無視してその場にしゃがみ込む。手を伸ばし、その指先で何かを掬い取るように床をなぞった。顔の前まで持ち上げたその指先に、白い粉のようなものが付いている。それが何かを当てる前に、しゅわりと指の上で消えた。


< 238 / 334 >

この作品をシェア

pagetop