あやかし神社へようお参りです。②
「富岡くん、大丈夫? 先生呼んでこようか?」
「大丈夫! 思ったよりも痛くて立てなかっただけ。もう歩けそう。それと、雪子、ごめん俺やっぱり先に行く!」
私たちに顔を見せる間もなく、勢いよく立ち上がり部室を飛び出した。
残された私たちは目を瞬かせる。
「……麻ちゃん、私、おいかける」
「うん、そうしてあげて」
ばいばい、と手を振って別れると、部室は一気に静かになった。
深く息を吐き、今度こそ私も帰ろうと鞄を取る。窓とカーテンを閉めて外に出た。
廊下はもう赤い夕陽が差し込んでいた。外からは部活動生の掛け声が聞こえる。
ガチャガチャと鍵を回していると、自分の足元にもうひとつの影が落ちた。驚いて振り返ると、賀茂くんすぐ後ろに立っていた。
「び、びっくりした。どうしたの?」
「部長は?」
「部長?」
「郷土史研究部の部長、渡辺詩子」
「詩子ならもう帰ったけど……」
そうか、と端的に返事をした賀茂くんは、一瞬何かを思案した顔をして、鞄の中から一枚の紙を出した。
「これ、渡しといて。中堂、同じクラスだろ」
首を傾げながら受け取る。さっと目を通して素っ頓狂な声をあげた。大見出しには“入部届”の文字、続いて達筆な字で賀茂くんの名前と郷土史研究部の名称が書かれていた。