あやかし神社へようお参りです。②



 嘘を吐くのが下手なのは自分でもよく分かっているので、何も言わずにただ首を振った。何とか誤魔化せたらしく、詩子は「そっか」と零す。


 「変、だったの。帰るとき、蛍ちゃん、怒鳴ったから」

 「え、雪子に?」


 信じられないと目を見開いた詩子。それは私も同じだった。


 まだ入学してからひと月くらいしか経っていないが、雪ちゃんと富岡くんの仲の良さはクラスのみんなが知っている。“おしどり夫婦”や“兄弟”なんて揶揄う人もいるくらいだ。富岡くんはみんなに優しいけれど、とりわけ雪ちゃんには優しい。富岡くんにとって雪ちゃんが大切な幼馴染であるということが分かる程度には、他の人たちと比べると接し方が違ったからだ。

 そんな富岡くんが雪ちゃんに怒鳴るなんて、考えられない。雪ちゃんが富岡くんを怒らせたり嫌がるようなことをするとは思えないし、一体私と別れた後に何があったんだろう。

 もしそれが、彼が裏の社へ運ばれてきた理由と関係するんだとしたら、きっと私に何かできることがあるはずなんだけれど。


 眉根を寄せて目を伏せる雪ちゃんを見ると胸が痛くなった。


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