あやかし神社へようお参りです。②



 次の日の朝、いつも通り詩子と揃って登校すると、教室の窓から雪ちゃんが外を見下ろしていた。

 「おはよ!」と元気よくその背中を叩いた詩子に、雪ちゃんはゆっくりと振り返る。力なく微笑んだ雪ちゃんに、私たちは顔を見合わせた。


 「元気ないね、風邪ひいた?」


 詩子の問いかけに、雪ちゃんは小さく首を振る。


 「……蛍ちゃんが」


 その名前にどきりとした。悟られないように必死に平静を装う。幸い、ふたりとも私の方は見ていなかったようだ。


 「蛍ちゃんが、昨日から家に帰ってないって……」

 「家に帰ってない!?」


 素っ頓狂な声をあげた詩子は、周りの視線に気が付き慌てて口を押える。声を低くして聞き返せば、雪ちゃんは泣きそうな顔で頷いた。

 昨日、様子がおかしっかった富岡くんを心配した雪子が夜に彼の家へ寄ると、まだ帰ってきていないと家の人たちが慌てていたらしい。


 「昨日、あのあと何かあったの?」


 詩子が私に尋ねる。

 何もなかったと言えば嘘になる。昨夜富岡くんが裏の社へ運ばれきてきたのは紛れもない事実だ。しかしそれを詩子たちに伝えて言いものなのか。未だに目覚めることなく床に臥せっている富岡くんを思うと、それは憚られた。


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