あやかし神社へようお参りです。②
そして部屋の前に立ち襖に手をかけたその時、
「開けるなっ!」
怒鳴り声に思わず手を引っ込めた。胸の前で握りしめる。
「三門さんから聞いてないのかよ。誰にも会いたくないんだ。開けるな」
帰ってきて直ぐに会った時とは正反対の、警戒するような声だった。戸惑うように名前を呼べぶも、返事はない。
「なんで、私、大丈夫だよ。私、結守の人間だから、富岡くんの事情も分かってるし、さっきだって」
「分かってる? それは富岡蛍助のことだろ。さっき会ったのは富岡蛍助だ、俺は違う。もう富岡蛍助はいない。おれは雪童子なんだ。富岡蛍助はさっきで最後、もう誰にも会わない」
「どうしてそんな悲しい事言うの」
「同情されたくないから。大人になれない、消えてしまう、可哀想、中堂もそう思ってんだろ」
言葉に詰まった。富岡くんの言葉の通りだったからだ。
「もう俺のことなんか忘れて、さっさとどっかいけよ」
じゃあなんで、
「誰にも会わない。会いたくない」
どうして、
「おれのこと、忘れてよ」
どうして、そんなに泣きそうな声でそう言うの。