あやかし神社へようお参りです。②
昨日案内されたばかりなので、場所はきちんと覚えていた。トイレの電気を消してドアを閉める。居間へ戻ろうと振り返ると、客間の障子が半開きになっているのに気が付いた。
なんとなくそうっと顔を覗かせてみるも、そこにはひな人形が飾られているだけで誰もいない。換気してるのかも、と結論づけて障子から少し離れた。
カコン────、と背後で何かが落ちる音がした。もう一度部屋の中を覗きこむ。床の上に金色の小さな扇子が落ちている。お雛さまに目をやると、胸の前で組まれた白い手には何も握られていなかった。
風に吹かれて飛ばされたのかな。
直ぐに出ます、と心の中で謝って客間にそうっと足を踏み入れる。床に転がっているお雛さまの扇子を拾い上げ、少し背伸びをしながらお雛さまの手元へ戻した。
あるべきところに収まった小さな扇子は、きらきらと美しく輝いている。
「よし」と呟き、早く出ようとお雛さまに背を向けた。すると、服の肩の部分が何かに引っかかってしまったようにツンとつっかえた。