あやかし神社へようお参りです。②


 その時、少女の傍に影が落ちた。どこかで見たことのあるような靄が、その陰からもくもくと生じる。付喪神たちのまとう空気が鋭いものに変わる。


 「みろ、また災厄が来ておる」

 「懲りぬ奴らじゃ」

 「さあ兵《つわもの》ども、刀を取れ、武器を取れ!」


 お内裏さまが腰の刀を引き抜き立ち上がると、五人囃子もそれに続いた。勢いよくひな壇から飛び上がった彼らは、その勢いのまま刀を靄に振り下ろす。剣先からまばゆい光が発せられ、真っ二つに切り裂かれた靄は空気中に拡散する。


 「詩子どのに手を出すなんぞ、我々の目が黒いうちは断じて許さんぞ」

 「詩子どのをお守りするのが我らの務め」


 満足げに言い切ったひな人形たちは軽やかな足取りでひな壇に飛び移る。彼らはまた優しい顔で少女のことを見守った。

 はじめはそれが何を意味しているのか理解できず、茫然とそれを見ていたが、やがてそれはひな人形たちが詩子に近付く厄を断ち切っているのだと分かった。


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