しあわせ食堂の異世界ご飯4
「こういった仕事を国から依頼してもらえるのは、とても助かりますね。それに、子供たちにもたくさん学んでほしいと思いますし」
 もし自分のときに学園があったら、もっと別の道があったかもしれないとマイクはほんの少しだけ寂しげな表情を見せる。
「マイクさん……」
「あ、そんなに気にしないでアリアさん。今は大工の仕事が気に入ってるし、職人として育ててくれた親方にも感謝してるんだ」
「それなら、俺だって親方には感謝してるっす」
 マイクもジャンも、大工の仕事は好きなようだ。
(でも確かに、教育はこの世界の大きな問題でもあるよね)
 アリアはひとり、う~んと悩む。

 この世界の教育水準は、正直に言ってしまえば低いだろう。
 それもそのはずで、学校というシステムができあがっていないのだ。まったくないというわけではないのだが、特に身分のない庶民には関わりが少ない。
 一般的な貴族が通う学園はあるが、大貴族や王族になると家庭教師をつける。そのため、学園に行く必要がないのだ。
 庶民にいたっては、すでに仕事を引退した年寄りが、近所の子供を集めて読み書きや基本的な計算を教える程度。
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