しあわせ食堂の異世界ご飯4
「はい。しあわせ食堂という定食屋です」
「何っ!?」
 自分の娘の師匠が料理人をしている店じゃないかと、ライナスは頭を抱える。美味くて人気が出るのも、当たり前だ。
 というか、自分の抱えている料理人を使いサンドイッチを作ったとしても……元の参考料理はアリアに差し入れてもらった軽食だ。
 コピーがオリジナルに勝てるわけがないのだと、ライナスは頭を振る。
 そして同時に思うことは、ルシオが買ってきた限定八十個のコロッケを自分も食べたいということだ。
 カレー、生姜焼きのライスバーガーを食べたライナスは、もうすっかりアリアの料理の虜だった。
 恥を忍んでルシオからひと口もらおう。
 しかしライナスがそれをお願いするよりも早く、ルシオの言葉に後悔した。
「どうやら、しあわせ食堂の客が私たちの屋台に流れてきていたようです。それを打開するために、このコロッケをお試しで販売したようですよ」
 手に入れた常連客たちが話しているのを聞きましたと、ルシオが言う。そしてコロッケをぱくりと食べ、あっという間にたいらげてしまった。
「お前、全部食べたのか……」
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