しあわせ食堂の異世界ご飯4
 思いがけない提案に、母親は声をあげた。
 だってまさか、自分がしあわせ食堂の新しい料理を試食できるなんて、そんな夢のようなことがあるとは考えていなかった。
 駄々をこねてくれてありがとう我が子よと、そっと心の中で思ってしまったのも仕方がないだろう。
「もちろん、私たち親子でよければ喜んで……!」
「本当ですか? よかった。じゃあ、少し店内でゆっくりしていてください」
「はい!」
 話が無事にまとまったので、アリアは安心して厨房へと戻る。
 その途中で男性客から「ずるいぞー!」と声が飛んできたけれど……笑顔のエマが容赦なく「子供限定だよ!」と叱ってくれた。
 それでもブーブーとブーイングが飛んできたが、エマが一喝する。
「上手くいけば新メニューになるんだから、あんたたちは我慢おしよ!」
「は、はいっ!!」
 エマの迫力に、男性客は誰もノーとは言えなかった。

 ***

 厨房に戻ったアリアは、一喝するエマの声を聞いて思わず笑う。なんと頼りになる店主だろうか。
 そして厨房に行くと、そんな店主の息子が一生懸命に働いている。
「アリア、大丈夫だったのか?」
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