しあわせ食堂の異世界ご飯４
　幸せそうに食べてくれる姿は、こちらまで幸せな気分になる。それはライナスも同じだったようで、リズを見て頬を緩めた。
　けれどそれは一瞬のことで、コホンと咳払いをひとつ。
「リズ、あまりはしたない食べ方はいけないよ」
　ライナスに注意されて、リズは無言で何度も頷く。そのままカレーを飲み込んで、口の中を空にしてから「はい！」と元気に返事をした。
　そんな微笑ましい光景に、アリアも自然と笑顔になる。
「では、私もいただきますね」
　ライナスは少なめにカレーをすくって、ゆっくりと口元へ運ぶ。初めて食べる料理なので、どんな味なのかわからないのだろう。
　上品な仕草でカレーを口に含み、何度か口を動かした。目を閉じ、純粋にカレーを味わったライナスだったが、すぐにその目が開く。
「……このような料理は、初めてです」
　驚いたのか、ライナスの目が大きく開かれた。
「とっても美味しいですよね、お父さま」
「リズのお気に入りだったね。今日からは、私のお気に入りにもしないといけないようだ」
　どうやら、カレーはライナスの好みに当てはまったらしい。
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表紙・目次

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