しあわせ食堂の異世界ご飯4
 数種類のスパイスを混ぜて作ったアリアのカレーは、ほんのわずかな辛みがほどよい口当たりになっている。
 配合自体はさほど難しくないが、この比率を生み出すために日本人が長い研究を要してきたのだ。
 本来であれば、そう簡単に辿り着ける答えではない。……が、そこはアリアだ。転生前の知識をフル活用し、誰もが大好きなカレーを作りあげた。
「これは……なんとも美味しい料理ですね」
 ライナスはカレーの香りを楽しみながら、ふた口、三口と食べ進めていく。
 カレーのルーだけを食べ、ときには白米と一緒に。一度に二度の味わいを感じることができるのは、とてもいい。
「リズがアリアさんに弟子入りしたいと言ったのも、納得の美味しさですね。もっともっと、食べたくなってしまいます」
 これは参りましたねと、ライナスが嬉しそうに微笑んだ。
「カレーに似たものですと、シチューを食べることはあります。少し似ているところはありますが……味がまったく違う。私はカレーの方が好みです」
 家で毎日でも食べたいくらいですと、ライナスがカレーを絶賛してくれる。これは、リズにもカレーの作り方を教えた方がいいかもしれない。
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