しあわせ食堂の異世界ご飯4
 アリアの言葉を聞いて、カミルがあからさまに動揺する。まさか、自分に部下ができる日がくるなんて考えてもみなかったのだろう。
「でも部下ってあれだろ、大きな商会とか、そういうところにいるもんじゃないのか? うちみたいな小さなところじゃ……」
 しあわせ食堂でそんな大それたシステム、できるのか? そもそも俺にそんな大役が務まるのか?と、カミルがめちゃくちゃ焦っている。
 アリアはあははと笑って、「大丈夫だよ」とカミルの背中を軽く叩く。
「学園の厨房を運営していくんだよ? これから先もっと人員は増えるし、カミルは次期しあわせ食堂の跡取りとしてどーんと構えてなくちゃ」
「お、お、おぉう……」
 カミルは震える声で返事をして、油の中から最後のカツを取り出した。
 動揺して挙動不審になっているが、すくい上げたカツは落とすことなくバットに移して油を切った。
「……カミル、大丈夫?」
「あ、ああ! 全然余裕だ。まさか俺の人生がそんなことになるなんて、人間何が起こるかわからないな」
「そうだね」
 確かに、自分でどうしたいという願望はあるけれど……そうそう予定通りに進むものではない。
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