しあわせ食堂の異世界ご飯4
 いい匂いがしているのだろう、子供たちが一直線にアリアたちの下にこようとして――しかし辿り着く前に、「ストーップ!」というエマの大声がこだました。
「こら、そんなに慌てなくても料理は逃げやしないよ。まずはそこに校庭の水道があるから、手を洗っておいで」
「はーい!」
 子供たちはエマの指示に従い、素直に水道へ行った。
 学園では手洗いとうがいを徹底させようと、アリアが説明会の打ち合わせのときに提案したのだ。
 汚れた手で食事をするのは衛生上よくないし、風邪予防にも効果が発揮できる。
 この世界では手洗いなどはあまり浸透していないが、子供のころからしっかり覚えさせようという作戦だ。
 自分たちが今までより風邪を引きにくくなったと自覚してくれれば、きっと学園を卒業してからも続けてもらえるだろう。

 さて、今日は給食のデモンストレーションだ。
 できあがった料理を食器に取り分けることも、子供たちにやってもらう。給食の仕方については、先ほどの授業説明と一緒に行なってもらっている。
 整列係をするエマが、集まった子供たちを見回す。
「それじゃあ、今日の『給食係』になった子は手を上げてごらん」
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