しあわせ食堂の異世界ご飯4
「すごい! 名人の域ね……」
 今度から卵を割るのはシャルルにお願いしてもいいかもしれない、なんて。アリアは油の入った鍋を避けて、コンロの上に底が少し深い大きな鉄板を載せた。
「それじゃあ、仕上げちゃおうか」
「おう。んじゃ、さっそく始めるか」
 前日に仕込んでおいたつゆを取り出して、カミルがそれを鉄板へ流し込む。そのあとにすぐ、最初に準備していた大量の玉ねぎを入れてひと煮立ち。
 それから切ったカツを玉ねぎの上に載せていき、つゆが染み込むように一分ほど待つ。
「あとは卵を上からかけたら完成、だな」
「うん。あ、ちょうど子供たちがきたよ!」
 どうやら、校舎の見学と授業などの説明は時間通りに終了したらしい。今日の昼食が振る舞われるということは全員が知っているので、待ち焦がれていたことだろう。
 見学者のうち何人かは、全速力でこちらへ走ってきている。
「ふふっ、すごく速いね」
「いやいや、こんな美味い飯が待ってるんだぞ? 俺だって全力で駆けてくる自信がある」
 これじゃあどっちが子供かわからないと、アリアは笑う。
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