しあわせ食堂の異世界ご飯4
「気に入ってもらえてよかったです。リズちゃんも、お手伝いしてくれた日はカレーをお昼にする日が多いんですよ」
 親子で気に入ってもらえるなんて、嬉しい限りだ。
「それじゃあ、ごゆっくりしてくださいね」
「ああ、すまない。少しいいだろうか」
「はい?」
 アリアが下がろうと思いお辞儀をしたが、ライナスに止められた。
 幸い提供できるカレーの残量もわずかなので、少しばかりではあるが店内も落ち着いている。もう少し話をしていても、大丈夫だろう。
 ライナスはカレーを食べるリズに視線をやってから、アリアに向き直る。そして言いづらそうにしながらも、お願いを口にした。
「すみません、アリアさん。実は……私はこの後に仕事でして。もしよろしければ、リズをお願いできませんか?」
「リズちゃんをですか?」
「ええ」
 どうやら、ライナスの仕事は休みというわけではなかったようだ。今から仕事となると、だいぶ忙しいのだろうとアリアは思う。
(体を壊さないかだけが心配……)
 日本には過労死という言葉があったくらいなので、正直かなり心配になってしまうし、リズが心配そうにしていることも多い。
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