しあわせ食堂の異世界ご飯4
「なんだいなんだい、そんなに緊張する必要なんてないよ! まあ確かに、アリアちゃんの料理を独り占めできるんだから、その気持ちもわからなくはないがねぇ」
 いつものように、気楽に食事を楽しみなと、エマが言う。
(違う、エマさんそうじゃないんだよ……!)
 アリアは門番の前にほうとうを置いて、苦笑する。
 門番は、料理に目を見開きつつも、リントをチラ見してアリアに助けを求めるような視線を向けた。
 そう、門番ががっちがちになって緊張している理由はリントの存在だ。
 彼は兵士という職業柄、リントがこの国の皇帝リベルトだということを知る、数少ない人間だ。
 その事実に関して、シャルルは知っているがエマとカミルは知らない。しかしシャルルは王族であるアリアの侍女で、どちらかといえば王侯貴族に対する耐性がある。
 ということで、庶民の門番は場慣れしておらず気が気ではないのだ。
「ひとまず、食事をして落ち着いてください」
「あ、ありがとうございます」
 アリアの言葉を聞いて、門番はゆっくり何度か深呼吸を行う。目をつぶりながら深く息をはいて、改めてほうとうを見た。
 ――ひゅっと、門番が息をのんだ。
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