しあわせ食堂の異世界ご飯4
「そうしていただけると、うちの村も助かると思います。よく食べはするんですが、他国の人は味噌に詳しくないから、あまり売れなくて困っていたんですよ」
 なんとなくアリアに味噌を渡したが、どうやらそれは門番にとって英断だったようだ。
「門番さんの故郷は、東の方でしたよね?」
「そうです。ジェーロから南東方面に進んで、エストレーラより先にある海から行ける島国のヒノトです。船に乗るのは、だいたい三日程度でしょうか」
 今いるジェーロからエストレーラまでは、馬で一ヶ月はかかる。そこから先へ行き、さらに船にまで乗らないといけない。日数的には、ヒノト王国へ行くには二ヶ月ほどかかるだろう。
「門番さんも、なかなか遠いところの出身だったんですねぇ」
 シャルルはヒノトまで行ったことはないけれど、船が出ている港町がある国までは行った経験がある。
「小さな島国ですから、どこか世界から隔離されているような気もしましたよ。それもあって、俺は国から出たわけですが……」
 どうやら、門番は田舎から都会に憧れる子供のようにジェーロへ出てきたようだ。あははと笑いながら、しかし今はとても楽しいのだと言う。
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