しあわせ食堂の異世界ご飯5
「わかりました、自分でよければ」
「ありがとう」
 それにしても、ロスタン公爵はいったいどのような人物だろうとアリアは考える。おそらく、夜会で初対面となるはずだ。
(リベルト陛下を玉座から引きずり下ろそうとしている人物……)
 その手段は毒などを使う容赦のないもの。少し話をしてみたくも思うが、必要以上の接触はきっとリベルトもシャルルも許してくれないだろう。
 ……今はただ、夜会で何事もないようにと祈るばかりだ。

 ***

「う~ん……会いたいときほど会えない」
 しあわせ食堂の営業時間が終わり、厨房の片付けを終えたアリアはぼそりと呟いた。ここ最近、リントとローレンツが食事に来てくれていないのだ。
 夜会のことやロスタン公爵の動きなど、いろいろ聞きたいことがあったというのに。
「シャルルも王城に行ってはいるけど、ふたりを見かけることはないっていうし」
 どうにもうまくいかないと、アリアは落ち込む。

 厨房から店内に戻ると、カミルがテーブルに向かってなにかを書いていた。気になったアリアは、こっそりその様子を覗き込んでみる。
「わ……レシピだ!」
「うわっ、びっくりした」
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