しあわせ食堂の異世界ご飯5
 思わず声に出してしまったので、驚いたカミルが振り向いた。胸の辺りを押さえて目を見開いているので、かなり集中していたのだろう。
「ごめん、気になっちゃって……なんのレシピ? カミルのオリジナル?」
「……ったく」
 手を合わせて謝ると、カミルは笑って許してくれる。
「いや、これは親父が作ってくれた料理なんだ。料理にもやっと慣れてきたし、覚えてる範囲で書き出してるんだ」
「へえ……お父さんの思い出のレシピなんだ。いいね!」
 親から子供へ受け継がれていくレシピのない料理、いわゆる家庭の味は日ごろから台所に立っていないと再現はできない。
 カミルは父親の料理の作り方は知らないけれど、味はしっかり覚えている。いつかそれを作りたいのだと教えてくれた。
「俺は別にいいんだけどさ、いつか母さんに振る舞えたらいいなって」
「それ、すごく素敵。きっとエマさんも泣いて喜んじゃうよ!」
「大げさだよ、アリアは」
 書かれていたレシピは、スープや肉の炒め物など、家庭で食べる一般的な料理だ。鶏のまるごとスープなど気になる項目もあって、アリアもいつか食べさせてもらいたいほどだ。
「それはそうと……アリア」
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