執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
雅文と顔を合わせるのはものすごく気まずいし、何を話せばいいのかわからない。
動揺のあまり変なことを言って墓穴を掘ってしまいそうな気がするから、雅文がシャワーを浴びているうちにこのまま帰ったほうがいい。
昨日はお酒に酔ったせいで判断力が落ちていたんだ。これは事故だと割り切って、なかったことにしてしまおう。
そう決めて私が急いで服を着ていると、ベッドルームからバスルームへと続く扉が開いた。
ぎくっとして顔を上げると、そこにはバスローブを羽織った雅文がいた。
襟元からのぞくたくましい胸板や、湿って黒く光る髪。洋服を身に着けた私を見てわずかにひそめた眉。すべてか色っぽくて心臓が跳びはねる。
表情を強張らせた私を見て雅文は大きくため息をつくと、床に転がったままになっていたパンプスを拾い上げた。
「まどか。俺になにも言わずに逃げ出す気だった?」
手の中で私のパンプスをあそばせながら意地悪な声で図星を指す雅文に、私はぐっと言葉につまる。