執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

 きゃっきゃと楽しげな彼女たちの会話を聞きながら、耳のふちがじわじわと熱くなっていくような気がした。

 あの雅文が、私に約束をすっぽかされたくらいで落ち込んでいたなんて。

「あれ、広瀬さんどうしました? 顔が真っ赤ですよ」

 そう指摘され、慌てて腕で顔を隠す。

「なんでもない。私、のどが渇いたから、なにか飲み物買ってから行こうかな」

 エントランスにあるカフェを指さしながら誤魔化すと、彼女たちは「わかりました」ととくに気に留めることもなく先に歩いていく。

 その後ろ姿を眺めながら、はぁっと息を吐き出した。

 このくらいのことで動揺してしまうなんて情けない。そう思っていると、背後でコツンと靴音がした。

 振り向けば、体格のいい後輩の谷村くん。



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