執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「でもその分、見習うべきところはたくさんある人だから、谷村くんも変な偏見を持たないで素直にどんどん学ぶといいよ」
私がそう言うと、谷村くんはふくれっつらのままうなずいた。
「瀧内部長の言葉なのに広瀬さんから聞くと素直に感動したってことは、あっちが俺を毛嫌いしてるんじゃなく、俺の方が部長に偏見を持ってるってことですもんね」
谷村くんは短い髪をかき上げ、気持ちを切り替えるように息を吐き出す。
「わかりました。俺は俺らしく、ちゃんと頑張ります」
「よし。えらいえらい」
私が笑いかけると、谷村くんはぐっと唇を噛んでから「じゃあ、外回り行ってきます」と立ち上がった。
「いってらっしゃい」と見送っていると、近くにいた大山さんから「広瀬さん、さすがー!」と感嘆の声をかけられ、驚いて振り返る。
「なんだか、頭の固い思春期の息子をうまく操縦するお母さんに見えました」
「その例えは、よろこんでいいのかわからなくてなんだか微妙な気持ちになるなぁ」