執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


「俺は、広瀬さんにくらべたらまだまだ未熟で早く追いつきたくて、どうやったら最短距離で成長できるかって自分なりに考えて……」
「谷村くん。人と比べる必要なんてないんだよ」

 その言葉を聞いて、谷村くんはおずおずと顔を上げた。彼の目を見ながら続ける。

「ほかの人と比べて自分の劣っているところがあったとしても、それを恥じたりあせる必要はない。だけど、過去の自分と比べて今の自分が成長できていないのは恥ずべきことだから。未来の自分が胸を張っていられるように、自分らしく成長すればいい」

 いつか雅文が自信を無くしていたバイトの女の子に向けて言った言を思い出しながらゆっくりと語りかけると、谷村くんの肩から力が抜けた。

「広瀬さん……。ありがとうございます。なんか俺、瀧内部長が帰ってきてすごい焦っちゃって。広瀬さんの言葉に感動しました」
「まぁ、これは人の受け売りの言葉なんだけどね」

 私が肩をすくめながら付け加えると、谷村くんはとたんにむっと眉をよせる。

「それ、瀧内部長ですか?」

 その問いかけに「そう」とうなずく。

「あー、もう。なんなんですかあの人。くやしいくらいかっこいい」

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