執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「やり逃げって。瞬くん、人聞きの悪いことを言わないでくれる?」
顔をしかめて瞬くんを睨むと、「だってそうじゃないですか」と悪びれる様子もなく笑う。
「きっとその元カレ、今頃ホテルにひとり取り残されて落ち込んでますよ」
「そんなこと……」
あるわけない、と否定しようとしたのに続く言葉が出てこなくなったのは、真剣な表情でこちらを見つめる雅文の視線を思い出してしまったから。
ベッドの中での雅文は、強引だったけれどすごく優しかった。まるで恋人に接するように私のことを大切に甘やかしながら抱いてくれた。
触れあった体温や色っぽい息遣いを生々しく思い出して、ぶわっと頭に血が上る。
「あ、昨日のことを思い出して赤くなってる。まどかさんやらしー」
にやにや笑う瞬くんに図星を指され、「違うから!」とむきになって否定する。
けれど瞬くんは人の言葉を聞きもせず、「これ飲んでいいですかー?」と私が持ってきた紙袋の中をのぞいていた。