執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「広瀬は相変わらずみんなに好かれてるよな」

 ふたりのときは『まどか』と呼ぶけれど、職場では名字で呼ぶ。
 甘い秘密を共有していた、付き合っていたころのことを思い出して、動揺で手がわずかに震えた。

 みんなに好かれているのは私じゃなくて、あなたのほうでしょう。と心の中で反論しながら涼しい顔でたずねる。

「どうしたんですか、瀧内部長」
「せっかくの歓迎会だから、みんなと話したいなと思って移動してきた。座ってもいい?」

 私が答える前に大山小山コンビが声をそろえて「どうぞ!」と返事をしてしまった。

「広瀬の隣、もらうね?」

 私の横にいた谷村くんに宣言するようにそう言うと、谷村くんは仏頂面でうなずいた。
 それを確認してから、雅文は私の隣に腰を下ろす。

 こつんと肩が触れた。それだけで、鼓動が速くなった。

 どうしよう。雅文と隣り合わせている方の半身だけ、なんだか熱く感じる。



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