執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「ありがと、瞬くん」
「どういたしまして」
見つめあう仲の良いふたりをながめていると、なんだかうらやましくなってきて自然とため息がもれる。
すると、そんな私の表情に気付いた朋美がこちらに身を乗り出してきた。
「まどかはずっと恋人いないんだし、これをきっかけにその元カレの雅文くんとヨリを戻してもいいんじゃない?」
そう言われた私は、すぐに顔をしかめて首を横に振る。
「いやだよ。元恋人とはいえ、三年ぶりに再会していきなりホテルに連れ込むような男だよ。アメリカでも遊びまくってるに決まってる」
「そうかなぁ」
納得できない様子でつぶやく朋美に、私はバッグから一冊の雑誌を取り出して開いてみせた。
「ほら、これ見てよ。相手は経済誌に見開きで記事がのっちゃうような御曹司なんだよ。わざわざ元カノとよりを戻すほど女に不自由しているとは思えない」
そこにのっているのは〝世界に羽ばたく若きビジネスマン〟という特集の中で紹介されている雅文の写真。
ロサンゼルスのカフェで三つ揃えのスーツを身に纏い、リラックスした様子でインタビューを受けている雅文は、文句なくかっこいい。