執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
くったくなく笑う雅文の写真の横には、〝日本の『INO’S COFFEE』を世界ブランドにした伊野瀬コーポレーションの御曹司〟という見出しが添えられていた。
三年前、雅文はINO’S COFFEEの北米初進出となるロサンゼルス店をオープンするためにアメリカへと旅立った。
ロサンゼルスのある西海岸は日本でも有名な外資系コーヒーチェーンの一号店があるシアトルや、サードウェーブコーヒーの誕生の地でもあるサンフランシスコなどに代表される、アメリカのコーヒーカルチャーの本場だ。
そんな土地に日本企業が出店するのは無謀だと思われていたけれど、雅文はたった三年で雑誌やネットで〝海外で活躍するイケメン御曹司〟とたびたび取り上げられるほどの業績を上げた。
これだけイケメンでしかも有能なんだから、言い寄ってくる女性は数えきれないくらいいるだろうな……。
こうやって雑誌に載った雅文の写真を見ると、三年前に自分がこの人と付き合っていたのが信じられなくなる。
住む世界が違うというか、手の届かない雲の上の存在に思える。