執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


 ひとり残された私は今聞かされた内容を受け止めきれなくて動揺したままフロアに戻る。すると、私に気付いた雅文が声をかけてきた。

「広瀬、顔色が悪いけど大丈夫か?」

 優しい問いかけに、心臓が苦しくなる。

 この人が、私に嘘をついて騙していた? 陰では遊びだと言って笑っていた……?

 どう反応していいのかわからなくて、平静をよそおって首を横に振る。

「なんでもないよ」

 私がそう言うと、雅文は目元をゆるめ「そ?」とわずかに首をかしげた。その魅力的な笑みが、胸をしめつける。

 私が唇をかむと、雅文は周りに気付かれないように耳元に唇を近づけた。

「まどか。今日大事は話をしたいから、家に来てくれない?」

 その言葉に、心臓が凍りつく。

 そうか。田端くんが言ったように、別れを切り出されるんだ。心の内側が、無数のとげで突き刺されたようにひどく痛む。

 聞きたくない。心からそう思った。雅文に別れ話をされ捨てられたら、きっと私はボロボロになってもう立ち直れない。

 だって、こんなに好きなのに。こんなに愛しているのに……。


 捨てられるくらいなら、自ら手放そう。そう決意して私は自分から別れを切り出した。

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