執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「男は愛していなくても女を抱けるし、いくらでも嘘をつけるんだよ」
その言葉に、頭を思い切り殴りつけられたような気がした。
私たち家族を置いて家を出ていった父の姿を思い出す。
『いかないで、お父さん』そう言って泣いた私を、面倒なものをみるように見下ろす父の視線。
ごく普通の幸せな家庭だと信じていたのに、父にはずっと愛人がいたんだと知らされたときの絶望感。
愛していなくても、いくらでも嘘をつける。
その言葉は、私の心の奥にあった傷口をえぐるように切り付けた。
「俺の言葉を信じられないならそれでもいいけど、あいつが自分の身分を隠して騙していただけで充分裏切りだろ。広瀬は真剣に付き合っていると思ってたのに」
憐れむように言われ、ぐっと唇を噛んだ。
「これ以上傷つきたくないなら、もうあいつの言葉は信じない方がいいぞ。まぁどちらにしろ瀧内はアメリカに行くんだし、近いうちに別れ話をされると思うけどな」
「アメリカ赴任の話は、ただの噂じゃないの……?」
私が呆然としながらたずねると、田端くんは「本当になにも知らされていないんだな」と気の毒そうにつぶやきその場をあとにした。