執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「これ、もしかして前に言っていた郊外型店舗のデザイン?」

 私がたずねると「そう」と雅文がうなずいた。

「景色のいいロケーションに建てたくて、今候補地をさがしているところ。海を望める丘とか、清流が見下ろせる森の中とか」

 言いながら雅文は手を伸ばし、私の持っている書類を長い指で一枚めくる。
 そこには店舗の内装のデザインがあった。

「すごい」

 それを見た途端、ため息がもれた。

「レンガ造りの工場のようなどこかレトロで、でも無駄をそぎ落とした洗練されたデザインの店にする予定。郊外だから既存店よりもずっと広くて開放感のある店舗を作れる。カーペットを敷いたリラックススペースや広々としたソファ。そして焙煎機も」

 雅文がデザインを指でさしながら説明をしてくれる。

「店舗に焙煎機を置くの?」
「そう。焙煎工場を併設した、既存店よりもワンランク上のコーヒーを提供する特別なINO’S COFFEE」

 その話を聞いているだけで、夢のように素敵な空間になるにちがいないと確信してわくわくしてきた。

「天井の高い開放感のある店内の真ん中に、ガラス張りのスペースをつくって大きな焙煎機を置いたら素敵かも。その周りを囲むステージのようなカウンターの中で、訓練されたバリスタが最高の一杯を用意するの!」

 思いついたイメージを言葉にすると、雅文が笑みをこぼす。


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