執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
 

 雑誌の中でさわやかに微笑む雅文を見下ろしながら、「ほんと、勘弁してよ」と小さくつぶやくと、手元に影がおちた。
 誰かがのぞきこんでいるようだ。

 不思議に思って顔を上げると、そこにはマーケティング部の田端くんがいた。

「あ、田端くん……」
「瀧内が出てる雑誌、わざわざ買ったんだ?」

 不機嫌な声でそう言われ、「瀧内部長、でしょう。私たちの上司なんだから」と思わず顔をしかめる。

「この雑誌は、うちの会社の記事が載っていたから読んでいるだけだよ」

 そう言い訳しながら雑誌を閉じ足元に置いていたバッグにしまおうとすると、「まだ瀧内が好きなんだ?」と憐れむように言われ表情がこわばった。

「騙されて遊ばれて三年も放置されたのに、日本に帰ってきた瀧内にまたちょっかいだされて簡単にその気になって。広瀬は本当に都合のいい女だよな」

 そんなことわざわざ言われなくてもわかってる。私はぎゅっと唇を噛んで目をそらす。

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