執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「別にその気になんかなっていないから、放っておいて」
「本当に? 瀧内のことはもう好きじゃねぇの?」
「好きじゃないよ。三年前にきっちり別れてるんだから。もう未練なんてない」

 言いながら、胸がずきりと痛んだ。
 必死に強がっているけれど、本当はどうしようもないくらい雅文に惹かれている自分がいる。

 傷つきたくないのに。裏切られたくないのに。私はなんて馬鹿なんだろう。

 そんな私を見て、田端くんはにやりと唇のはしを引き上げた。

「ふーん。じゃあさ、広瀬。俺と付き合わない?」
「は?」

 唐突な言葉に思わず目をまたたかせる。

「瀧内に言い寄られて迷惑してるんだろ? 俺と付き合えばあいつもあきらめるんじゃねぇ?」
「そんな理由で好きでもない相手と付き合えるわけないでしょ」

 私があきれながらそう返すと、田端くんの表情が険しくなる。

「好きでもないって。ひどいな」
「だって田端くんが私を好きじゃないことくらい、わかるよ」
「じゃあ、広瀬を好きになって本気で口説いたら、俺の女になる?」

 田端くんは私の顔を覗き込みながらそう言った。けれどこちらを見つめる瞳の奥は冷え切っていて、ぞくっと背筋が冷たくなった。

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