執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

 セレクトショップに勤める瞬くんは女性と出会う機会が多く、朋美という彼女がいるくせによくお客さんと連絡先を交換したり出かけたりと浮気疑惑が絶えない。

 そのたびに朋美は泣いて、瞬くんは土下座して謝って、ほだされた朋美が折れて、よりを戻しての繰り返しだ。

 この前も平日がお休みの瞬くんが朋美がお仕事でいない間に女友達と一緒にフルーツ狩りに行っていたのが発覚してひと悶着あったばかりだ。

 こりない瞬くんもどうかと思うけれど、何度裏切られても彼のことを好きだと言える朋美の気持ちがわからない。
 どうして信じることが怖くならないんだろう。そう朋美にたずねたら、きっと彼女は『瞬くんが好きだから』と答えるんだろう。

 でも私は、好きだからこそ信じるのが怖い。裏切られたくない。傷つけられたくない。向き合うよりも逃げることを選択してしまう私は、弱くて臆病なんだろうか。


 そんなことを考えると、心の中がもやもやとした黒いもので覆われていく。


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