執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「ね、それよりもその元カレの雅文くんとはどういう状況で再会したの?」

 黙り込んでいると、朋美が私の顔をのぞきこんできた。

「あ、ええと、会社の近くのバーで、ひとりで飲んでいてね」

 ひとり物思いにふけっていた私は、朋美の言葉にはっとしてから気を取り直し説明をはじめる。

 会社の近くにあるバーは、雅文と付き合っていたころからよく通っていたアットホームなお店だ。マスターも店員さんもフレンドリーだし、バーといいつつフードメニューも美味しいお気に入りのお店。

「カウンターに座ってお酒を飲みながら顔なじみの店員さんに愚痴を聞いてもらっていたら、いつの間にか雅文が隣にいて『俺がアメリカにいるうちに男の趣味が悪くなったな』って不機嫌そうに睨まれて、『そんな最低な男はやめて俺にしろよ』って腕を掴まれて……」
「その『最低な男』って、なんのこと? まどかは彼氏なんていないよね」

 不思議そうな顔をした朋美と一緒に「そういえばたしかに。なんだろうね」と首を傾げる。

 その時点で私はけっこう酔っ払っていた上に、アメリカにいるはずの雅文との突然の再会に動転していたのもあって記憶が曖昧だ。

「店員さんに愚痴を聞いてもらっていたって、なんの話をしていたんですか?」

 瞬くんにたずねられ、私はぽんと手を打つ。

「そうだ。瞬くんの悪行を並べて愚痴っていたんだ」
「俺の悪行?」

 首をひねった瞬くんに、私は大きくうなずいた。


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